年が明けると各地でいろいろな「初○○」といったような儀式・行事が開かれますが、
お茶の世界でも同様で、「初釜(はつがま)」と呼ばれる行事が行われます。
初釜ならではのいろいろな決まりごとがあるので、私なりに勉強し、まとめてみました。
お茶を習いたてのかたや、茶道に触れたことが無いかたの一助となれば嬉しいです。
初釜とは
新しい年を祝う、茶道の新年会にあたるような行事です。
年が明けて初めて釜に火を入れることで、新年最初のお茶会のことをさします。
新年になって初めてお茶を点てるので、稽古始め・初稽古ともいいます。
初釜ならではの飾りやお菓子があります。
初釜ならではのもの、いろいろ
若水(わかみず)
初釜では、若水でお茶を振る舞います。
若水は元旦の早朝に汲まれた水のことで、この水を用いてお茶を点てます。
若水を飲むと一年の邪気が祓えるといわれています。
結び柳
初釜の床飾りで、天井から畳まで流れるほど長い柳で長寿を祝います。
途中で輪に結ぶのが特徴で、長くしなやかな柳の束を真ん中で結び、輪にします。
結び柳の丸く結んだ部分は「いつまでも変わらぬ生命力の象徴」「一陽来福」の太陽を表しているとのことで、新年と旧年を結ぶという意味も込められているようです。
床柱の上の方に青竹の筒を掛けたり、竹花入れなどを掛け、これに柳を差し込みます。
柳は長く垂れているほど縁起が良いとされています。
主菓子
流派によって異なり、
- 表千家 :常盤饅頭 (ときわまんじゅう)
- 裏千家 :花びら餅
- 武者小路千家:都の春
が用いられます。
■表千家■ 常盤饅頭
「常盤」とは、千年変わらない松の緑を表す言葉です。
それを見立てて、緑色の餡(白あんを緑色に染めたもの)を白い薯蕷(じょうよ)の皮で包み作られています。ころんとまるいお饅頭です。
■裏千家■ 花びら餅
宮中の行事食「菱葩(ひしはなびら)」を原形とするお菓子です。
まるく平らに伸ばした白餅の中央に紅色の菱餅を重ね、白餡に白味噌を加えた味噌餡と、甘露煮した細切りの牛蒡を乗せ、半分に折りたたんで作られています。
外側の餅は、地域によってもち米をついたつき餅だったり、求肥やういろう生地であったりなど、違いがみられることもあるようです。
折りたたんである部分が淡いピンク色で可愛らしいのですが、理由はあるようで。
もともと赤は魔除けの意味があり、赤い色をしている小豆は祝いには欠かせない食材のため、本来は小豆の汁で染めていたとのこと。
牛蒡も、「お菓子に牛蒡?」と不思議な気がするのですが、牛蒡は深く根を張ることから縁起物として扱われていました。牛蒡は漢方薬としても扱われていたことから、薬効の意味もあったのかもしれません。
■武者小路千家■ 都の春
小豆餡を芯としたきんとん仕上げの菓子で、緑色と紅色の二色をしています。
「柳は緑、花は紅」という言葉のように、京の春を緑色と紅色で表現しています。
あとがき
新年は、新しい年の幕開けを祝う行事がいろいろとあり、またそれぞれに謂れ・理由があり、調べるとなかなかに興味面白いです。
ご参考になれば嬉しいです ^-^
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